東京科学大学(Science Tokyo)アントレプレナーシップ教育機構(アントレ機構)は、2026年7月1日、Google Japan渋谷ストリームオフィスにて、アントレ機構認定講座「Google Healthと考える〜AIが駆動する未来のヘルスケア〜」を実施しました。
本講座は、グローバルな知と人材が集まるGoogleの日本拠点を訪れ、「未来のヘルスケア」をテーマにディスカッションを行うことを通じて、グローバルな視座に立った価値創造の在り方を探求するものです。
定員30名の枠に対し、理工学系に加え医歯学系の学生も参加し、活発な議論が交わされました。
当日は、以下の3つの講演の後、質疑応答・討議、オフィス見学が行われました。
講演1:千川原 智康 氏(Google合同会社 Home and Health, Devices & Services Partnerships Head)
「Google Fitbit のJourney」
講演2:Google Health チーム「AIとHealth Careについて」
講演3:Google Cloud チーム「Geminiのヘルスケア領域でのユースケース」
講演
講演では、Google製品である「Fitbit」や、独自のAIを活用したプロジェクト、AIの開発・普及に関する研究、メディアとしてのYouTubeのヘルスケアへの関わりなど、多岐にわたるテーマが取り上げられました。
千川原氏のご講演では、多くの企業がFitbitをキーデバイスとして活用しているなど、Googleのサービスが広く社会実装されている現状を説明された後、最新Fitbitのスクリーンレスデバイスが、ユーザーに特別な意識や操作を求めることなく、日常生活の中でありのままのデータを蓄積できる点の意義について語られました。
また、「点から線による健康管理」という観点から、日々継続的に記録される「線」としてのデータによって、体調の変化や異常の予兆をより早期に捉えられるようになるという、健康管理のパラダイムシフトについてもお話しいただきました。
さらに、医学研究や問診におけるAI活用技術の開発、正しい医療情報を的確かつ分かりやすく提供するプラットフォームとしてのYouTubeの役割についても紹介がありました。信頼できる医療・健康情報源とパートナーシップを構築したり、第三者の専門家と協力して信頼できる医療・健康情報に関する原則や基準作りに取り組んでいることが報告されました。
参加学生は、終始和やかな雰囲気の中、熱心にメモを取りながら耳を傾けていました。
質疑応答・ディスカッション
講演後には質疑応答・ディスカッションの時間が設けられ、理工学系と医歯学系、それぞれの視点から活発な質問が寄せられました。
「デジタルデバイスの普及には経済力による格差が生じ、提供される医療にも格差が生まれるのではないか」という指摘に対しては、BtoB(企業間取引)のアプローチによって企業に製品を導入し、従業員への利用を促すことで、個人の関心や経済力に左右されることなく医療・健康管理の機会を提供することを大切にしているとの回答がありました。
医歯学系の学生からは、医療現場でのデータ収集への活用を想定した視点からの質問も寄せられ、理工学系と医歯学系の学生が互いに良い刺激を受け合う様子が見られました。
Googleスタッフからは、「AIを開発する立場だからこそ、その正確性に一層注意を払っている」との説明があり、「医療現場においても、AI活用のサイクルの中に人間の目を取り入れることが基本である」という発言からは、AI開発に携わる立場としての強い責任感が伝わりました。同時に、AIによって広がる医療や人々の健康の可能性についても語られ、社会に大きな影響力を持つ企業としての理念が感じられる時間となりました。
ディスカッション終了後も学生の関心は高く、休憩時間には多くの学生がGoogle社員のもとを訪れて質問や名刺交換を行いました。
オフィス見学
ディスカッション後のオフィスツアーでは、社内の展示物に加え、カフェテリアや娯楽スペースなど充実した設備の案内がありました。Google社員のアイデアから生まれたユニークな製品や展示が数多く紹介され、その独創性に学生たちからは驚きや感嘆の声が上がりました。カフェテリアでは様々な国や地域の料理が提供され、社内各所にアート作品が展示されるなど、外資系企業ならではの多様な社風を体感する機会となりました。
特に、PCアクセサリやPC本体を自由に利用できる無料提供システムが自動販売機のような形で設置されている点が印象的であったほか、社内各所に点在する小規模なフリースペース(ワーキングエリア)も注目を集めました。こうした環境は、社員一人ひとりへの手厚い支援と、偶発的なコミュニケーションが生まれる働き方を両立させる工夫として、参加学生に強い印象を残しました。
参加学生コメント
Google製品の紹介にとどまらず、AI開発に携わる立場としての責任感や、医療・健康分野への理念を直接伺うことができ、大変貴重な機会となった。オフィス見学を通じて、多様性を大切にする社風や、社員一人ひとりを支える環境づくりについても学ぶことができた。
アントレ機構では、本学アントレプレナーシップ教育の5つの要素である「先見性」「国際性」「リーダーシップ」「価値創造」「キャリア構築」に関わる講演/セミナー/講座を「機構認定講座」として開催しています。今後も「社会共修」「異分野共修」「国際共修」の場を提供することを通じて、本学学生のアントレプレナーシップを涵養することを目指します。