【開催報告】グローバルシンポジウム2026 先輩たちの未来設計

2026年2月24日 公開

2026年2月10日(火)オンライン開催 (参加者464名/グローバル教育オプション・グローバル理工人育成コース 授業履修者、海外研修参加者等)

本シンポジウムでは、国際教育プログラムに参加した学生3名が、自身の留学経験を通じて得た学びや成長を具体的に共有しました。短期研修から長期留学、さらには博士課程進学まで多様な進路が紹介され、国際経験が学生の視野を広げ将来のキャリア形成に大きな影響を与えることが示されました。また、言語の壁や文化の違い、生活上の困難をどのように乗り越えたのかという実体験は、これから海外に挑戦しようとする学生にとって大きな励みとなりました。

シンポジウムの開会にあたり、蒲池利章アントレプレナーシップ教育機構長より、本学が推進するアントレプレナーシップ教育の理念と五つの育成要素を紹介。価値創造・リーダーシップ・キャリア構築・先見性といった要素の中でも、国際性が基盤となることを強調され、GEO(グローバル教育オプション)が提供する多様なプログラムが学生の視野拡大に寄与する点が示されました。また、先輩学生の実体験を通じて将来設計のヒントを得てほしいと、参加者の学びを後押しするメッセージが送られました。

講演1
『世界への一歩:東京科学大学の国際プログラムを活用して留学に備える』

鍛治莉保子さん 東京科学大学 環境・社会理工学院 土木・環境工学系

フランスでのダブルディグリー留学を控えている今、そこに至るまでの経験と準備を紹介。大学入学当初は英語学習への意欲が低かった時期もありましたが、グローバル理工人育成コースへの所属や授業で紹介されたプログラムをきっかけに、留学への関心が高まりました。特にスリランカでの超短期研修では、現地学生との交流を通じて「伝えたいのに英語が出てこない」もどかしさを経験し、語学力の必要性を痛感しました。続くイギリス研修では、多様な留学生の英語に触れたことで心理的ハードルが下がり、長期留学への意欲がさらに強まりました。
現在は、奨学金申請に必要な英語力向上、フランス語学習、文化理解、ビザ手続きなど具体的な準備を進めています。将来についてはまだ模索している段階ですが、国際機関での活躍も視野に入れており、留学の経験が自身のキャリア形成に大きな影響を与えています。

鍛治さん発表資料

講演2
『留学は特別な誰かのものじゃない:スウェーデンで見つけた私なりの未来の選び方』

小永井あかりさん 東京科学大学  環境・社会理工学院 建築学系 都市環境学コース

スウェーデン王立工科大学(KTH)への交換留学を通じて得た経験を紹介。コロナ禍で留学の機会を逃したことから「学生のうちに行くしかない」と考え、修士課程での留学を決意しました。スウェーデンを選んだ理由には、国際色豊かな環境、涼しい気候、そしてKTHの高い教育・研究レベルが挙げられます。留学生活では、自然豊かな環境や多国籍な街の雰囲気に触れ、英語が通じる社会の中で外国人としても暮らしやすさを感じました。学習面では、留学生が半数以上を占める授業で毎日のように英語を使い、グループワークを通じて多様なバックグラウンドを持つ学生と協働したことが大きな刺激になりました。一方で、生活習慣の違いや医療制度、訛りのある英語への対応など困難も多くありましたが、調べる・聞く・頼る姿勢を身につけることで乗り越えました。

小永井さん発表資料

講演3
『きっかけをつくる、きっかけをひろう』

長谷川千晃さん ミュンヘン工科大学博士課程 (東京科学大学 工学院機械系機械コース修士課程修了)

学部4年で初めてパスポートを取得するほど海外経験がなかったものの、交換留学をきっかけに国際的なキャリアへ大きく舵を切った経緯を紹介。ミュンヘン工科大学(TUM)では、多国籍な学生環境や高度な研究設備に触れ、産業都市ミュンヘンの活気や文化にも刺激を受けました。留学中は授業の難易度や住居探し、ドイツ語の壁など多くの困難に直面しましたが、週末の小旅行や現地学生との交流を通じて生活に適応し、技術系キャリアへの関心が強まりました。現在はTUMの博士課程学生として雇用され、EUプロジェクトの一環として歩行支援ロボットの研究に従事しています。研究だけでなく学生指導やプロジェクト運営にも携わり、国際的な協働経験を積んでいます。

長谷川さん発表資料

講演後、アントレプレナーシップ教育機構グローバル教育実施室 太田絵里特任教授のファシリテーションにより、質疑応答が行われ、登壇者がそれぞれ自身の体験をもとに回答しました。

質問 回答
Q1. 奨学金はどのようにして探しましたか? 鍛冶さん:大学の留学支援ページ、担当教員、先輩からの情報。

小永井さん:大学経由で複数応募。 国・大学独自の奨学金も多いため、「国名+奨学金」で検索するのが有効。

長谷川さん:学内情報に加え、外部データベースを活用。日本の奨学金 → 派遣先大学の奨学金 → 国・地域の奨学金の順で探すと効率的。
Q2. 現地で言いたいことがうまく伝わらないときの対処方法は? 鍛冶さん:翻訳アプリ、英語が得意な友人の助け、「日常で使う基本フレーズ」を暗記して乗り切った。

小永井さん:ジェスチャーやスマホ検索を活用。アニメ・ゲームなど日本文化の話題で会話を広げた。相手の母国語で「ありがとう」など簡単な一言を覚えると距離が縮まった。

長谷川さん:現地の日本文化コミュニティに参加し、話しやすい環境から慣れていった。ドイツ語はブロークンでも恥ずかしがらず、相手の話し方を真似して会話。いきなり「現地の一般市民」と話すより、興味を共有できる場から始めるのが効果的。
Q3. 部活・勉強の両立はどのようにしましたか? 鍛冶さん:サークル・バイトと勉強をメリハリで切り替え。テスト前は勉強に集中するなど、優先順位を明確にした。

小永井さん:建築学系で多忙だったが、「時間の区切り」を徹底。英語学習は専門科目を英語で履修するなど、学習を重ねて効率化。

長谷川さん:「重なる部分」を意識して効率化(例:留学先の単位認定、大学提供の語学支援を活用)。部活でも留学生と交流するなど、活動を国際経験につなげた。
Q4. 文化の違いや、治安面で怖い経験をしたことはありますか? 鍛冶さん:食事マナーの違いに戸惑いがあった。

小永井さん:スウェーデンでは大きな問題はなかったが、他国旅行中に薬物使用者が多い地域に遭遇し恐怖を感じた。防犯意識を高めることで危険を回避できるようになった。駅では家族連れや高齢者の近くにいるなど、安全な場所を選ぶ工夫をした。

長谷川さん:ミュンヘン以外の都市では治安が悪い地域もあり、駅周辺は注意が必要。外務省の「たびレジ」や現地ニュースで危険情報を常にチェック。文化面では役所の対応が遅いなど生活インフラの違いにストレスを感じたが、慣れで対応。

最後に、グローバル教育実施室長 野原佳代子 環境・社会理工学院教授より、講評及び参加者へメッセージが送られました。
登壇した学生たちが豊かな経験を自分の言葉で語れていたことが素晴らしい。留学で得た生の体験を自分の中で消化し、言語化して他者に伝えられることは、国際的に活躍するうえで重要な力となります。また、現地で受ける衝撃や困難は避けられないものの、それを乗り越える過程こそが成長につながります。さらに、英語の訛りや多様な発音は国際社会における自然な「すり合わせ」であり、日本で培った英語も十分に力を持ち得るので、完璧さを求めすぎず、自分の背景を含めて堂々と伝える姿勢が大切です。大学には小さな国際交流イベントや学習機会が多数用意されており、興味のある学生はまず一歩を踏み出して経験を積み重ねてください。

参加者の声

・シンポジウムを通じて、留学は語学学習だけでなく進路や専門につながる経験であることがわかった。登壇者が留学に向けて段階的に準備していた点が印象的で、英語が得意でなくても努力次第で留学が可能だと知り、自分も英語学習制度を活用して挑戦したいと感じた。

・グローバルなキャリアは特別な才能ではなく、小さな行動の積み重ねで築けると学んだ。語学が得意でなくても周囲の助けを借りながら順応していく姿に現実味を感じ、完璧を求めず行動しながら学ぶ姿勢が重要だと実感した。

・ 先輩の英語学習開始時期を知り、英語が得意でなくても留学を目指せると安心した。留学先の写真やエピソードに刺激を受け、春休みから英語学習を始めたいと思う。初めての留学は大学のプログラムを利用し、奨学金も調べていきたい。

東京科学大学には、短期プログラムや国際交流イベントなど、初めの一歩を踏み出すための機会が数多く用意されています。本シンポジウムが、参加された皆さんの可能性を広げ、次の挑戦へ向かう契機となることを期待します。

◆次年度のイベント情報◆

4/22(水)留学フェア開催! 是非ご参加ください!!
Takiプラザ、アントレプレナーシップ・グローバル海外研修ブースにて、2026年夏のプログラムについて説明します。
(詳細は後日案内します)

参考:過去の海外研修募集案内

<お問い合わせ先>
アントレプレナーシップ教育機構 グローバル教育実施室