第1回 GCIEMグローバルサミット参加レポート

2025年5月9日 公開

文責:東京科学大学 医学部医学科 青木みのり、岡村南星

東京科学大学代表団と、米国イリノイ大学 Carle Illinois College of Medicine 医学部長:Mark Cohen氏、および医学副部長:Gregory Polites氏

2025年4月6日から8日にかけて、東京科学大学の代表団がイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(UIUC)カール・イリノイ医科大学(以下、CI MED)で開催された第1回 Global Consortium of Innovation and Engineering in Medicine (以下、GCIEM) Global Summit(以下、グローバルサミット) に参加しました。

GCIEMは、東京科学大学が創設メンバーを務めるコンソーシアムで、学術機関、医療機関、産業界のリーダーが連携し、「工学に基づくソリューションで世界の医療を革新する」ことを目指しています。今回のサミットには、世界各地の33機関から500名以上の代表が参加しました。

その中で、「Global Health Innovation Grand Challenge Competition」(以下、グランドチャレンジ)に出場したのが、東京科学大学医学部4年の青木みのりさんと、3年の岡村南星さんです。お二人はGCIEMのStudent Committee(学生委員会)メンバーとしても活動しており、世界各地の医学生・工学系学生と共に、医学の未来について議論を重ねています。今回のグランドチャレンジには、世界中の医学生たちと混成チームを組んで挑戦しました。以下、お二人からのレポートです。

青木 みのりさん

この1年間、私はStudent Committeeの共同議長を務め、世界中の学生と交流してきました。定期ミーティングでは、医学生・工学系学生が互いに情報を共有し合い、最新の動向について意見交換を行っています。

今回のグローバルサミットでは、これまでオンラインでしかお会いできなかった役員会の先生方やコミッティーメンバーと直接お話しでき、大変貴重な経験となりました。そしてディスカッションや、AIを活用した画像解析などのプレゼンテーション、グランドチャレンジでの実践を通じ、「なぜこれからの医学に工学的知識や応用が必要なのか?」というテーマに沿った具体的な実例について学ぶことができました。

特に印象に残ったのは、
「AIは医師を置き換えるわけではない。しかしAIを使いこなせる医師が、使えない医師に取って代わるだろう」
という言葉でした。まさに今、東京科学大学が推進している医学・工学連携研究の重要性を実感しました。

CI MEDでは、各臨床ブロックの最後に、その領域の臨床的な課題について調査し、一つ選んで具体的な解決策とそれにかかる費用やビジネス計画を考える必修プロジェクトがあります。グランドチャレンジはその実践版のような位置づけで、私たちのチームは「子宮内膜症の画像診断」をテーマに発表しました。CI MEDのチームメイトたちは、医学生でありながら三人の子供の育児も両立させていたり、卒業後は研修に進む前に1年間研究に没頭して周りと差をつけたいと考えていたり、とても意欲的で、彼らの情熱に心を打たれました。

残念ながら決勝進出はできませんでしたが、ファイナルに進んだチームのビジネスモデルやプロトタイプ、プレゼンテーション力は圧巻で、大きな刺激を受けました。優勝チームは、更年期障害に悩む女性のためのホルモンバランス調整パッチを開発し、なんと75,000ドル(約1,000万円)の資金を獲得しました。

今後は、Student Committeeの中でもエンジニアリングと医療を融合させた共同プロジェクトを立ち上げ、将来的には東京科学大学チームでグランドチャレンジ優勝を果たせるように、活動を続けたいです。

岡村 南星さん

2025年のグローバルサミット、特にグランドチャレンジへの参加は、私にとって非常に刺激的であり、同時に大きな挑戦でもありました。

私たちのチームは、「急性脳卒中治療における低体温療法」をテーマに取り組みました。脳卒中発症後、いかに早く治療を始めるかが回復の鍵です。特に地方では、治療に間に合わないケースが多く課題となっています。
私たちは、身体の温度を迅速に下げることで治療までの猶予時間を延ばせる可能性のあるデバイスを考案しました。惜しくも決勝進出は叶いませんでしたが、同世代の学生たちがこれほどまでに積極的に未来を切り開こうとしている姿に、大きな刺激を受けました。

今後は、東京科学大学内にも医学・工学の学生が交流できるチームを作りたいと思っています。まずは、医療系・工学系の学生同士が気軽に交流できる機会を設けることが第一歩だと考えています。そして、いつか私たちもグランドチャレンジで優勝を目指したいです!

最後に、今回の参加にあたりサポートしてくださった東京科学大学およびイリノイ大学の皆さまに心より感謝申し上げます。

GCIEM Student Committeeのミーティングの様子

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