12月18日、東京科学大学(Science Tokyo)の大学院課程6人(修士課程2人、博士後期課程4人)が、自身の研究内容やScience Tokyoの魅力を中高生に伝える目的で、田園調布学園中等部・高等部(東京都世田谷区)を訪問しました。
同校は、「日本の発展のためには、特にこれからは女子の教育が重要である」との考えから1926年に創立された中高一貫の女子校で、Science Tokyoとは地理的に近いこともあり繋がりが深く、理工系志望の生徒も増えている学校です。
今回の訪問は、教授法を学ぶことを目的にアントレプレナーシップ教育機構が開講している科目「博士アカデミックティーチング」を履修する博士後期課程学生が、自身の研究内容や大学院生活をわかりやすく説明しました。中高生に理工系の魅力を知ってもらうことを目的に実施され、当日は中高生約50人が参加しました。また、田園調布学園を卒業し、現在本学の修士課程に在籍している2人の学生も同行し、懇談を行いました。
Science Tokyoの紹介
はじめに、本学アドミッションセンターの齋藤晋特命教授(名誉教授)が、Science Tokyoの「歴史」「特徴」「各学院の研究内容」「入試制度」等について説明しました。特に、大学統合後も、数年間は従来の制度で入試が行われること、また、世界の大学と比較して女子学生比率が低いため、女子学生を増やして研究の幅を広げることを目的に「女子枠」が導入されたことについて説明し、「ぜひ皆さんもScience Tokyoを目指してほしい」と話しました。6つの学院では様々な分野の研究が行われていることに加え、学院を選択する際のヒントも示され、中高生は身を乗り出して熱心に聞いていました。

博士後期課程学生による授業
次に、博士後期課程学生4人が、自身の研究内容やキャリアについて授業を行いました。
各学生の発表テーマは、以下のとおりです。
博士後期課程学生4人の研究テーマ
- HCI(ヒューマンコンピューターインタラクション)とは何か(情報理工学院 情報工学系 博士後期課程3年)
- 機械工学とは?(工学院 機械系 博士後期課程2年)
- 細胞の力学モデリングとシミュレーション(工学院 機械系 博士後期課程1年)
- 地震から人命を守る~建築基礎構造の魅力(環境・社会理工学院 建築学系 博士後期課程1年)
各学生は、事前に発表練習を行い、教員や互いにアドバイスを受け、専門知識を持たない中高生にもわかりやすい発表を準備しました。当日は、自身の研究内容に加え、その研究内容に興味を持ったきっかけ、研究を行ううえでの楽しさや苦労等についてもユーモアも交えて話し、中高生は真剣に聞いていました。特に、今回は、社会人博士学生がいたため、働きながら研究を行うことの苦労等についても質問が寄せられました。


修士課程学生による講演
続いて、修士課程学生2人が、「Science Tokyoを選んだ理由」「現在の研究内容」「学業以外の大学生活」「中高時代に取り組んだこと」「入試に向けた勉強方法」等について講演しました。女子校から女子学生の少ない大学に入学して感じたこと、将来の夢等、苦労したことやそれを乗り越えた経験も含めて熱心に話し、母校の後輩へ力強いメッセージを送りました。この2人には、質疑応答の時間を超えて、中高生から多くの率直な質問が寄せられました。
全体を通して、中高生にとっては、大学院生から直接話を聞き、理工系大学進学後の研究内容にはどのようなものがあるのかを知るとともに、大学院生が課題設定から検証や成果発表をどのように行うかを知る機会となりました。大学院生にとっては、中高生に研究内容等をわかりやすく伝えるための方策を考える貴重な機会となり、Science Tokyoや理系の魅力も充分に伝えることができました。

参加した中高生の感想(アンケートから)
- 難しい言葉や専門的な用語を使わずに説明してくださり、どんなことを研究しているのか、イメージをすることができた。
- パンフレットではわからない大学生活のことを知ることができて良かった。
- 発表を通して、互いに高め合いながら研究することができると知った。
- 大学生活全体を通して教養科目があるのが魅力的だと思った。
- 自分の興味のあることを大学が全力でサポートしてくれることや、幅広い分野を学べること等、充実した環境が用意されていることを知り、Science Tokyoの良さを学べた。
- 自分から積極的に関わらないと知らないような分野について、わかりやすく説明してくださったので、聞くまでは名前も知らなかった新たな分野に興味が出てきた。
- 「社会人博士」という言葉を初めて聞いて、将来の選択肢の一つに入れてみようと思った。
- 国際性豊かで、教員一人あたりの学生数が少なく、授業の先取りができること等が魅力的だった。
参加した大学院課程の学生のコメント
大塚修平さん(環境・社会理工学院 建築学系 博士後期課程1年)
私の進路選択を中高生の方たちにプレゼンすることで、自分の選択や行動原理を省みる良い機会になりました。自分の経験が中高生の皆様の何かの参考になっていれば幸いです。
山本陽奈子さん(工学院 システム制御系 修士課程1年)
講演後、たくさんの在校生から高校時代の勉強や部活動についての質問がありました。研究の話や入試概要については、オープンキャンパス等で聞くことができますが、今回のように同じ高校出身の先輩からの話を聞ける場は多くないと思うので、中高生にとって非常に貴重な機会だったと思います。私自身も、自分の研究や経験を、中学生や高校生にも伝わりやすい表現で説明できる力が身に付き、良い経験になりました。
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更新履歴
- 2025年4月30日 本文中の誤記を修正しました。
- 2025年4月23日 本文の編集を行いました。
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