グローバル学習:SEMERA 2024プログラム参加レポート(オンラインとオンサイトの体験 )

2025年2月27日 公開

文責:東京科学大学 医学部医学科 手塚叶子さん

アーヘンとオンラインで交流するSEMERAの学生たち

アーヘン工科大学が主催する「Semester for Medical Research Aachen(SEMERA)」プログラムは、研究に強い関心を持つ、または科学の道を志す医療系の学生を対象としたプログラムです。
今年、東京科学大学 医学部4年生の手塚叶子さんが、この12週間のプログラムに参加し、日本人として初めての参加者となりました。彼女は、世界中の学生とともに学び、貴重な経験を積む機会を得ました。
ここでは、手塚さんがプログラムを通じて得た学びや体験について報告します。

参加理由・背景

パンデミックが始まって以来、私は海外に出る機会が無く、東京科学大学での優れた学習環境に満足していました。そして時間が経つにつれて、日本以外で学びの機会を探求する意欲が薄れていきました。しかし、旧医科歯科大学の学部生宛に送られたメールで、アーヘン工科大学(RWTH Aachen University)が主催するSEMERAプログラムを知りました。このプログラムは、世界中の学生に医学研究の進め方をオンラインで学ぶ機会を提供しており、プログラムの最後の3日間はアーヘン工科大学で対面式の授業が行われます。医学研究に対する深い関心から、私は応募し、幸運にも受け入れられました。東京科学大学の支援のおかげで、現地での対面授業にも参加でき、忘れられない経験をしました。

SEMERAについて

SEMERA(Semester for Medical Research Aachen)プログラムは2024年9月から12月まで行われました。私はオンラインで、ドイツ、メキシコ、イタリア、ルーマニア、インドなど世界中の学生と一緒に研究方法について学びました。授業ではグループワークの課題もいくつか課されました。ヨーロッパ圏に住む学生が多い中、日本から参加する必要のあった私は大きな時差があり、オンラインミーティングに参加できないこともありましたが、WhatsAppといったチャットアプリでたくさん連絡を取り合い、課題もなんとかこなすことができました。
プログラムは様々なテーマについてオムニバス形式で進んでいきましたが、テーマごとに用意された質問欄では少しの疑問でも学生らがすぐ書き込んでいて、その積極性は私たち日本の学生ももっと見習うべきであると感じました。また、会話の中で医学用語がでてきたときは、科学大での学習で英単語も合わせて学ぶこともあったために理解ができました。
現地とオンラインといったハイブリッド開催で行われた発表会では、学生らが興味をもっているテーマについてポスター発表し合いましたが、それぞれ所属している大学の授業や課題で忙しい中、学術的な内容を論文の情報から調べ上げ、わかりやすいポスターへとまとめていて、海外の学生らの優秀さに圧倒されました。

アーヘン工科大学での滞在

プログラムの最後のセッションに参加するため、今回はアーヘンという街で1週間弱すごし、現地の学生とご飯を食べたりクリスマスマーケットに遊びに行ったりしました。学生の街と呼ばれるほど学生が多く、学生にフレンドリーな街で女性一人での旅でしたがとても安心して過ごすことができました。
アーヘン工科大学は、工学、医療、自然科学の分野で世界的に評価の高い大学です。キャンパスは街全体に広がっており、多くの大学関連の建物が点在しています。施設も充実しており、大規模な講堂、2棟の大きな図書館、各エリアにある学生食堂など、そのスケールの大きさが印象的でした。また、特に目を引いたのが「Skills Lab」と呼ばれる実習施設で、東京科学大学にあるものと似ていますが、はるかに大規模なものでした。ここでは、医療系の学生が臨床技能やコミュニケーションスキルを実践的に学ぶための多くの部屋が設けられています。救急対応から入院診療までを想定したシミュレーション設備が整っており、実際の医療現場に近い環境で学ぶことができます。さらに、今回の訪問で、アーヘン工科大学には工学と医学があらゆる形で組み合わされていることに気づきました。例えば、心臓血管工学の教授の方は、元々の流体力学へ興味が現在のヒトの心臓の研究に大きくつながったようです。このような工学と医学の融合の実践に感銘を受け、東京科学大学も東京工業大学と東京医科歯科大学の合併を経て、同様の学際的なコラボレーションができる素晴らしい機会があることを改めて感じました。

アーヘン工科大学附属病院の見学
仲間と訪れたアーヘンのクリスマスマーケット

国際的な視野の拡大

本プログラムでは多様性に富んだ医学部学生らと交流することができました。英語などという垣根を越えて、「医学」という共通言語で会話できていると嬉しく感じました。
このような経験をさせていただいた中で、他国での医学の在り方を理解する重要性を実感し、日本の医療制度の強みや課題にも気づくこともできました。また、東京科学大で学んだ医学の知識が非常に優れていることを改めて実感しました。
このプログラムが始まる前は、世界各地から来た学生たちに追いつけるか不安でしたが、彼らとの交流を通して、言語の壁を越えて「医学」という共通の言語でコミュニケーションできたと感じました。この経験は私の自信に繋がったので、今後は日本を超えてさらに学び続けることに挑戦したいです。
最後になりますが、この経験を与えてくださった皆様に心より感謝申し上げます。

ウェルカムパーティ
SEMERA最終プレゼンテーションの様子

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