東京ガス株式会社の協力によりPBL型集中講義を実施

2025年3月26日 公開

2025年4月25日 更新

東京科学大学(Science Tokyo)アントレプレナーシップ教育機構キャリア教育実施室は、東京ガス株式会社の全面的な協力により、アントレプレナーシップ科目「博士企業ビジネス研究開発戦略実践研修」を2024年12月9日、23日、2025年1月20日の3日間、集中講義の形で実施しました。

この科目は、博士後期課程学生を対象として、企業のビジネスや研究開発戦略をPBL (Project Based Learning:課題解決型学習)形式で学ぶものです。本年度は、電気電子コース、エンジニアリングデザインコース、材料コース、社会・人間科学コース、イノベーション科学コース、ライフエンジニアリングコースの6つのコースから8人の博士後期課程学生が履修しました。留学生や社会人経験のある学生も履修する、多様性に富む環境での講義となりました。

第1日目の12月9日は、同社の千住事業所(荒川区南千住)において行われました。同社設備ソリューション事業部マネージャーの伊東健太郎氏と、同事業部チームリーダーの伊東卓也氏から、東京ガス株式会社の概要、本講義におけるグループワークのテーマとその背景とポイントについて講義がありました。そのなかでは、同社が2023年度に新しいソリューション事業ブランドIGNITUREを立ち上げて、「脱炭素」「最適化」「レジリエンス」を提供価値としてビジネス展開していくことについてお話がありました。

東京ガスの概要等について説明する伊東健太郎氏

次に、8人の履修学生を二つのグループに分けた上で、本講義のグループワークのテーマを、「みなさんが思わずやりたくなる家の中でできる新しい脱炭素アクションと、広めるためのアイディア」として、同社の事業ブランドIGNITUREのソリューションメニューになるような新たなビジネスアイディアを提案することについて説明がありました。さらに、グループワークの進め方として、同社におけるソリューション開発の進め方について紹介され、アイディア出し、深堀検討としてのユーザーへのヒアリング、成果をまとめるフォーマットなどの説明がなされました。その後、グループに分かれて、メンバーの自己紹介、最初のアイディア出しが行われました。グループワークにおいては、講師の伊東健太郎氏と伊東卓也氏が進め方等について直接指導され、また、学生からの質問にも積極的に対応いただきました。

グループワークの様子
東京ガス株式会社の講師も議論に参加

第2日目(12月25日)の集中講義は、同社の横浜テクノステーション(横浜市鶴見区)において行われました。グループワークを行った後、同社の水素・メタネーション施設を見学しました。また、旧・東京工業大学 博士後期課程を修了後に東京ガスに入社された中島達哉氏に参加いただき、同社に入社後の仕事や、大学と企業の研究の違いなどについてお話いただき、学生から活発な質問が出されました。その後、再びグループワークを行い、この日の集中講義は終わりました。

第3日目(2025年1月20日)は、同社の千住事業所(荒川区南千住)において行われました。最終のグループワークを行った後、本集中講義のまとめとして成果発表と質疑応答が行われました。それぞれのグループから、「スマートホームIoTシステムアプリケーションの開発」、「他者のエンタメ要素を組み込んだデカボアクションの普及」と題して、一般消費者を対象とした同社の新しいソリューションビジネスの提案が行われました。発表では、サービスの内容だけでなく、想定される市場規模、収益性や、想定されるユーザーに対するインタビュー結果などを含めた包括的なプレゼンテーションが行われました。それぞれのグループの発表に対しては、他のグループメンバーからも活発な質問がありました。最後に、講師の伊東健太郎氏と伊東卓也氏から講評をいただきました。なお、「デカボ」は脱炭素(decarbonization)の略語です。

最終日の成果発表

集中講義終了後に学生からは、「OBの体験談・アドバイスから、経歴に沿って、博士人材に求められる企業の期待や役割や博士後期課程で習得したスキルが企業で働く中でどのように生かされるか、理解することができた」、「営利企業でお金を稼ぐということがどのようなプロセスで成り立っているのか、その片鱗を知ることができ、有意義であった」、「実際のビジネス現場で働いている方々に新しいビジネスプランを構想して発表する一連の過程を通じて、ビジネスを展開する際にどのような段階を踏むのか、どんな困難に直面する可能性があるのかを実際に体験することができた貴重な機会であった」、「企業では異なる分野から来た人が多くいるため、新しい価値観に触れる機会が多く、成長できる環境であり、大学という同じ専門が集まる環境とは異なった魅力があると感じた」などの感想が寄せられました。いずれも普段の大学の研究や講義では得られないものであり、本集中講義は、将来、社会に出てキャリア構築をしていく上で極めて貴重な経験になりました。

Science Tokyoでは、大学院生向けのキャリア構築のためのアントレプレナーシップ教育として、通常の講義だけでなく、本科目のように企業の協力による PBL にも取り組んでいます。学生が、在学中から企業における取り組みについて理解し、将来、自らがキャリア構築していく上で役立つように、これからも取り組んでいきます。

更新履歴

  • 2025年4月25日 本文の編集を行いました。

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