末松安晴栄誉教授、伊賀健一栄誉教授の業績がIEEE マイルストーンに認定

2025年12月1日 公開

このたび、本学の末松安晴栄誉教授ならびに伊賀健一栄誉教授の卓越した業績が、それぞれIEEEマイルストーン2件に認定されました。IEEEマイルストーンは、電気・情報工学分野で世界最大(会員数約50万人)の専門家組織であるIEEEが電気・電子技術やその関連分野における歴史的偉業に対して認定するもので、開発から25年以上経過しても、社会や産業に大きな貢献をしている歴史的偉業を認定する国際的な制度です。これまで、古くは「ボルタの電池の発明」や「マクスウェルの方程式」、「半導体集積回路」など、名だたる発明の数々が認定されております。本学では、これまで「フェライト」、「水晶振動子」が認定され、今回の2件を加えると国内の大学では最多の4件となります。
今回の末松栄誉教授、伊賀栄誉教授の業績はそれぞれ、
「Single-mode semiconductor lasers for long-wavelength optical fiber communications」
「Vertical-cavity surface-emitting lasers」
であり、前者はインターネットの基幹光通信ネットワーク、後者はデータセンタ内光通信やスマートフォン顔認証システムの実現に大きく貢献したものです。
これを記念して、IEEE会長であるKathleen Kramer博士をお迎えし、10月28日に記念式典と記念講演会、レセプションが本学大岡山キャンパスで行われました。

業績概要

長波長帯光ファイバ通信のための単一モード半導体レーザ

1978年に、東京工業大学(当時)の末松安晴博士らは、分布ブラッグ反射器(DBR)を用いた長波長単一モード半導体レーザの動作を世界で初めて実証し、1980年には高速直接変調下でも単一モード動作を達成しました。さらに1983年には、位相シフト型分布帰還(DFB)レーザおよび波長可変レーザの初の実現に成功しました。これらの画期的な業績は、テラビット毎秒級の波長分割多重(WDM)光ファイバ通信システムの実現を可能とし、インターネットを中核とする現代の情報社会の基盤構築に多大な貢献を果たしました。

面発光半導体レーザ

単一モード・低電力動作、モノリシック製造性、広域連続波長掃引性を持つ半導体レーザの創出を目指して、面発光レーザ(Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser:VCSEL)が、伊賀健一博士によって1977年に発明されました。同博士らは、1979年に世界初の電流注入型VCSELの動作を実証、1988年には室温連続発振、1992年には広域連続波長可変動作を実現しました。VCSELは後に多様な分野において産業化され、LANやデータセンター内の光配線を初め、マウス、レーザープリンター、スマートフォンの顔認証システム、さらにはモバイル機器や車の先進運転支援システムのLiDARなど、21世紀の情報社会を支える基盤技術となりました。

IEEEマイルストーン記念式典

10月28日、大岡山キャンパス西9号館ディジタル多目的ホールにおいて、IEEEマイルストーン記念式典が行われ、本学関係者、IEEE、文部科学省研究振興局長、及び各工業界の方々、あわせて約170名(うちオンライン参加40名)が出席されました。
贈呈式では、IEEEのKathleen Kramer会長より、IEEEマイルストーンの歴史と意義についての講演の後、IEEEマイルストーン記念銘板2件が大竹尚登理事長に贈呈されました。続いて、大竹理事長からIEEEマイルストーン記念銘板拝領の謝辞が述べられ、その後、文部科学省 淵上孝研究振興局長、富士通株式会社 桑原秀夫名誉フェローよりご祝辞をいただきました。

贈呈後の記念撮影:前列右から末松安晴栄誉教授、Kathleen Kramer IEEE会長、大竹尚登理事長、伊賀健一栄誉教授、後列右から田中雄二郎学長、IEEE東京支部鈴木教洋副支部長、同平本俊郎支部長、淵上孝文部科学省研究振興局長、末松憲治IEEE Japan Council Chair、波多野睦子理事・副学長、西原明法名誉教授

記念講演会

記念講演会は、大岡山西9号館ディジタル多目的ホールで行われました。最初に、IEEE東京支部 Historical Committee Chair (2019-22) 鈴木 浩博士が、The Significance of IEEE Milestones」と題して、IEEEマイルストーンの意義について講演された後、末松安晴栄誉教授が「Single-Mode Semiconductor Lasers that Enabled Long-Wavelength Optical Fiber Communications – the Internet’s Backbone: Dynamic Single-Mode Lasers」と題し、長波長帯単一モード半導体レーザの黎明期の研究から、現在のインターネット社会を支える大容量光ファイバ通信システムへの発展に至る歴史を振り返る講演を行いました。続いて、伊賀健一栄誉教授が「VCSEL: From Invention and IEEE Milestone to Expanding Applications in Optical Interconnects, Sensing, and Beyond」と題し、面発光レーザ(VCSEL)の発明から約半世紀にわたる研究開発の歩みとともに、光センシングやデータセンターなどへの幅広い応用展開について講演され、盛況の内に終了となりました。

講演中の末松安晴栄誉教授
講演中の伊賀健一栄誉教授

記念講演会後、つばめテラスにて開催されたレセプションでは、益 一哉元東京工業大学学長からのご挨拶、カリフォルニア大学バークレイ校 Connie Chang-Hasnain名誉教授の祝辞と乾杯のご発声により、祝賀会が開催され、参加者は和やかに歓談しました。

レセプション冒頭で挨拶する益一哉元東京工業大学学長

記念銘板

贈呈された記念銘板は、大岡山キャンパス70周年記念講堂近く及びすずかけ台キャンパスに設置された石碑の上に各1つずつ展示されています。また、博物館(百年記念館2階)にも2つが展示されています。

大岡山キャンパスの記念銘板を囲んで
すずかけ台キャンパスに設置された記念銘板(中央)
博物館2階に設置された記念銘板

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